オステオパシーとは
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オステオパシーとは

オステオパシーOsteopathy)とは1874年にアメリカミズーリ州カークスビル在住の医師アンドリュー・テイラー・スティル(Andrew Taylor Still)によって創始された。日本ではカイロプラクティックスポンディロセラピーと共にアメリカ三大整体術と呼ばれている[誰によって?]。(ただし、スポンディロセラピーはすでに失われた手法であり、詳細は明らかではない。)1899年にウィリアム・ガナー・サザーランドにより頭蓋縫合の関節運動の研究がなされ、頭蓋に対するオステオパシー療法という新しい分野が開拓された。

オステオパシーはギリシア語のOsteon()とPathos(病理治療)の2つを語源とし、日本では整骨療法と呼ばれていたこともあるが、骨のみを調整する手技とは異なり、骨格などの運動器系動脈静脈リンパなどの循環器系脳脊髄液の循環を含む脳神経系など、解剖学的あるいは生理学的な広範囲の医学知識の元に、手を使って治療を加える。現在ではオステオパシーとそのままで呼ぶ。しかし、単なる療法ではなく、オステオパシーとは、そのままでひとつの哲学であり、1. 身体全体をひとつのユニットとして考える、2. 身体の機能と構造は一体のものであると考える、3. 自然治癒力を鼓舞することを主眼とするなど、独特の医学体系を持つ。

オステオパシーとは、療法を指す用語ではない。たとえば、東洋医学の中に鍼療法があるように、オステオパシー医学という医療哲学のひとつの体系のことである。従って、その意味では、オステオパシー「療法」というのは正しくない。

オステオパシーでは、次のような基本的理論のもとに治療を行う。

  • 身体はひとつのユニットであり、身体の諸器官や組織は互いに関連して機能している。
  • 身体の機能と構造は相互に関係する。
  • 身体は自己治癒力を備えている。
  • 自己治癒力を上回る何らかの外力または内的変化が生じた時に病気が発生する。
  • そのような機能障害(オステオパシーでは体性機能障害(Somatic dysfunction)という)を、筋、関節、神経、血液(動脈・静脈)、リンパ、脳脊髄液、諸内臓などを総合的に観察した上で見つけ、矯正することにより、健康に導く。

従って、本来は整骨という意味であるが、現在では骨や関節のみならず、身体全体の器官や組織全てを治療対象としているため、オステオパシーを整骨療法、整骨医学と翻訳するのは適切とは言えない。アメリカオステオパシー学会でも、整骨医学ではなく、オステオパシーという名称として認定している。

アメリカではオステオパスはドクター・オブ・オステオパシー(Doctor of Osteopathy)(D.O.)と呼ばれる第一職業学位First professional degree)・称号を有し、西洋医学医師(M.D.)と同様に正規の医師である。D.O.はすべての州で「医師免許」を認可されており、西洋医学医師(M.D.)と全く同等に「診断・外科手術・処方・投薬」等の全ての「医行為」が認められている。オステオパシー医学を学ぶ医学校も、西洋医学医師(M.D.)を輩出する医学校と同様に、大学院レベルに設置されており、通常は4年制である。現在では専門の手技療法を医学教育の最終段階で多少学ぶ程度の様であり、手技療法だけで治療しているD.O.は少数派であるらしい。また、D.O.は臨床研修(レジデンシー)を経た後は、類似する分野である整形外科医のみならず、救急救命医・一般内科医等の専門を選ぶ事もできる。アメリカ軍の軍医の中にはD.O.の医師も多数存在している。因みにアメリカでカイロプラクターは、ドクター・オブ・カイロプラクティック (Doctor of Chiropractic)(D.C)などと称されるが、正規の医師ではない。M.D、D.Oと違い代替医療に分類されるが、D.O.の存在は一般アメリカ人にとってあまり知られていないものである。

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